令和元年5月26日(日)

理学療法士の低給与水準 何とかなりませんかねえ?

理学療法士の昇給は難しい?

以前、かなり年上の理学療法士の方が『真面目にリハビリを続けていれば、きちんと昇給していくよ。これからも若い人は頑張ってね』ということを何かの席で仰っていたのを聞いていて

『何を言っているんだ?イカれているのか?』

と怒りを覚えた記憶がある

昔は理学療法士様様でしたそうな

この世代、具体的に言うならば今現在50代後半の理学療法士はかなりバブリーな生活を過ごされてきている

理学療法士が少なかったので病院側は理学療法士を雇用するために 

医師の次に高い水準の給与を用意した 

さらには住居手当ではなく 住居そのものとして家一軒

交通費ではなく 車そのものを

理学療法士に用意した時代

今から考えるとあり得ない高待遇である

今の若いセラピストは 昔のセンセイと比較して 劣るのか?

この世代の人々は口を揃えて『今の若い人たちは質が低い』『私たちは1日40人50人治療していた』『理学療法士は医師の次に偉い』『看護師や技師装具士と対等に話せるだけの知識がある』などど仰る

HAHAHA おふざけも大概に

今の若い理学療法士の方が養成校で受けてきている教育の量は多い セミナーや参考書の類、すなわち教育環境は整っている今の若い人たちの方が優れているとまでは言わないが劣っているとも考えにくい

昔は 一日○○人以上 診たもんよ詐欺

1日40~50人治療したと武勇伝を語る人は

計算が出来ないのだろう 

1日8時間つまり480分仕事をするとして40人治療するとしたら1人当たり12分50人なら1人当たり9分36秒だ 8時間以上働いたというのなら それはただの労働基準法違反だ

本当にその短時間で適正な治療が出来てその方法にエビデンスが確立されているならば現在のようにリハビリは1単位20分、1週間で108単位に制限されていない

各種疾患に対してのリハビリのガイドラインが裁定されているはずだ それこそ疾患に対して処方される薬と同様に細かく治療内容や手技が指定されるているはず

現実はどうですか?

気になる人は検索してみてください 脳卒中治療ガイドラインとか調べてみると良いかもね

理学療法士は医師の次に頭が良い? それ、本当?

これも良く言われます チーム医療の中心になれとか 医師の次に理学療法士が偉いんだとか 本当の理学療法士は他職種と同じレベルで患者を診れるとか

理学療法士はあくまで理学療法士 専門職には及ばない

というか何処から他職種と同等に話せる、という根拠が生まれてくるのだろうか 

ただ会話するだけなら 日本語を理解していればそれでいいんですが

看護師と対等に話せる理学療法士は 看護師の資格を持っている人

技師装具士と対等、という理学療法士は技師装具士の資格を持っている人

それ以外にありませんよ

他職種を舐めすぎです 有資格者に対して失礼です

こういった他職種の規定の教育過程を経て資格取得してから経験を積んだ理学療法士が何人いるというのか

少なくとも私はそういう人を1人しか知らない

理学療法士の給料を考える

理学療法士はリハビリしかできない職種だ そのリハビリの価値すなわち診療報酬が年々下がってきていることが理学療法士全体の絶対的な評価なんだろう

ここで最初の話に戻る

理学療法士の給与についてだ偉大なる(笑)先人は現在でも年間1,000万とか平気で貰っているらしい。

というか以前勤めていた職場にもいらっしゃいました、1,000万プレイヤー

特別何か病院に収益をもたらす訳でもなく、各種法令や手続きに詳しいわけでもない方でしたね。まあ一度設定しちゃったお給料の額を後から下げるのは難しいということです。

それならば理学療法士の給与の適正額はいくらなのか?という疑問が出てくるでしょう?

理学療法士が稼ぎ出す『 金額 』

普通の会社ならば成績や評価、つまり企業(雇用者)に対してどれくらい貢献、利益を生み出してくれるかが、その人の値段、給与になります。

理学療法士の仕事の価格は基本的に病院がどの種類のリハビリを、どの規模で実施しているかで決まります。さらに条件を満たせば追加で加算を算定できます。ここら辺は厚生労働省のHP辺りに掲載されています。まあPTOTSTネットでもいいんですけど。さらに仕事の量も1単位20分が1週間で108単位までと原則決められています。

つまり普通の会社員と違って理学療法士は個人個人が1日辺り、1週間あたり、1月あたりに稼ぎ出す収益をほぼ計算することができます。完全に出来ると書ききれないのは、1ヶ月に1回までの加算があったり、3ヶ月に1度算定できる加算があったりするからです。加算関連で微妙な誤差が出ます。

千代原は数年前に、病院で理学療法士が1年あたりいくらくらい単位請求できるのかを計算してみたことがあります。

結果は一年間で8,000,000円程でした

これは単純に実施単位数に診療報酬に規定されている点数を掛け算足し算していったものです。体制加算や支援シート、計画実施などの分は除いてあります。加えると820万くらいになりますか。もちろん病院の規模が大きく、単価の高い回復期リハビリテーションを実施しているところはこれより高くなるでしょう。いわゆる疾患別リハビリテーションを中心に実施、比較的点数の低い維持期リハビリを少々加えるとこれくらいの数字に落ち着くでしょう

2019年現在、この数字が1年あたり900万を越えることはかなり厳しく、1,000万の大台は今現在は不可能でしょう

理学療法士が貰って良い『 金額 』

さて理学療法士単体での稼ぎ高が分かったので適正なお給料を算定していきましょう ここからは簡単です一般的に健全な経営の病院が人件費にかけて良い額は収入に対して49%と言われています

これがMAXです

BlackなHospitalはもっと低いデスヨー?

さっき算出した理学療法士の稼ぎ高が820万円だったので8,200,000×0.49で4,010,000

やったー 年収400万円超えとるやんけー 

と喜ぶのはまだ早いですこれはあくまで人件費 つまり病院がその人にかけるコストです

人件費は大きく分けると賃金と現金給与以外の労働費用に分かれます。

賃金はさらに毎月の給与と賞与にわかれますさらに給与は所定内給与と所定外給与所定外給与って何ぞ? 平たく言うと残業ですね理学療法士はその仕事の性質上残業は発生しにくいです

現金給与以外の労働費用とは 退職金、法定福利費(社会保険料)、福利厚生費ですこれらの項目は適正な比率というか目安が大体決まっていて

年間の人件費を100とすると賃金80(給与65+賞与15)現金給与以外の労働費用20(退職金6法定福利費11福利厚生費3)となります

つまり我々理学療法士が年間働いて月々の御給料と賞与で貰える目安は

額面で3,208,000円ということになります

額面ですよ~ 手取りじゃないです

ここからしっかり税金と社会保険料やら年金やら払ってくださいね ちなみに計算すると大体手元に残るのは2,340,000円くらいです

この約320万円という数字は以前書いた、『理学療法士の給与について』という記事の中で紹介した数字とほぼ一致します

マイナビさんが調べた20~24歳つまり新卒~3年目くらいの理学療法士の年収が3,300,000円を割り込む位でしたからね 現実と大きくかけ離れていないことが証明されました

実際は病院という企業において、所属している全ての人間が診療報酬を発生させているわけではありません運営上必要なポジションではありますが、直接お金にならない仕事を行っている人もいらっしゃるわけでそこまで考えるとこの約320万円という数字はもう少し下がってくるかな、と思います

偉大なる1,000万プレイヤーの『 金額 』

理学療法士として真面目に働いている人が受け取って良い金額がはっきりしたところで 問題は1,000万プレーヤーの方々ですね

やる前から絶望的な計算になりますが

賞与込みで10,000,000円受け取るならば現金以外の労働給与は2,500,000円つまり人件費の合計は12,500,000円になります

今度は逆算していきましょう 人件費と収入の割合から逆算すると12,500,000÷0.49ですので

結果は約25,510,204円になります(爆)

小数点以下は四捨五入してますが、もはやどうでも良い(笑)

つまりあなたの周りの1,000万プレーヤー様は

病院に毎年約2,500万円のお金を運んできてくれる

ウルトラスーパーハイパーエリートとと言うことになりますね

HAHAHAHAHA

どうやって稼いでるのか是非とも教えて欲しいもんですな

皆で実践すれば 皆が幸せになりますよ 業界の未来は明るいですNE

雇用者から見た理学療法士の『 金額 』

というか年収計算の時点で分かってたことですけど 稼いだ診療報酬の51%が病院の収入なんですよね

つまり 理学療法士を雇ってフルに働かせて 1人あたり+400万円の収入を安定的に得る これが極意です

とりあえずリハビリの内容・質は問わない 

頑張る必要もありません 収入は変わらないので 

とりあえず決められた日数来てください 

給料を挙げる余地はありません 診療報酬は上がらないので

これが雇用者の本音ですねえ 

年収330万円以上貰ってリハビリ以外の仕事をしていない方は病院側からどう思われているか一度考えてみるべきかと

その差額は年次・給料の低いセラピスト達の血と汗と涙の結晶なのです

ちなみにさっきの計算でいくと 

病院で疾患別リハビリテーションを中心に実施すると個人の損益分岐は6,560,000円です 

実はこのくらいの金額がリハビリ部長クラスの年収と聞いております 

わあお リアルぅー

若いセラピストはこの記事を読んだら、部長さんと呑みに行って、高いお酒なり料理なりたくさん奢って貰って取り返しましょうね。

そのくらいしても罰は当たんないです、はい

若いセラピスト達は 頑張っています

ここまで読むと冒頭の『何を言っているんだ?イカれているのか?』という千代原の怒りの意味がわかっていただけただろうか?

現在 定年間際の 高収入理学療法士の給与は 若い人達の頑張りで出来ています 

これはあくまで病院で行われる疾患別リハビリテーションのお話 千代原が現在メインとしている介護保険の分野は以前よりも点数は下がりましたが通所系、訪問系ともにもう少しましな数字になります。

今後の報酬改訂でどうなるかは分かりませんけどね。

今回のまとめ

長々書きましたが最後にまとめときますか

  • 理学療法士の給与適正額は病院でリハビリのみ行う場合、約320万円 それを越えると病院としては面白くない
  • 病院に運んでくる金額×0.49×0.8があなたの年収の目安
  • 1,000万プレーヤーになりたいなら診療報酬で年間2,500,000点稼ぐか直接2,500万円稼ぐ魔法を使おう 昔の偉いリハビリのセンセイ(笑)が知っています

こういう話を 実習で来ている学生さんに話すと 理学療法士になりたい気持ちなんざ消し飛ぶんでしょうね

毎月の給与明細をみる度に 感情がタヒんでいく 千代原でした バイバイ

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