はじめに
皆さん こんにちはこんばんは! 千代原千代でゴザイマス!
今回は いつもと 趣向を変えて
千代原さんが 高校生の時に 出くわした
『怖い話』
を ひとつ ご紹介しようと 思いマス
*実は これ 先日 VTuberの『今酒ハクノ』さんの企画に 応募した物の 原本になりマス…
今酒さんのお酒レビュー めっちゃ 面白いです お酒を嗜まれる人は 是非 YouTubeで ご覧になって下さいw
それでは どうゾー…
【新しい バス停】
『本日…り……場の開設に伴い ●●電鉄バス停の………区画において 新し…バス停が 併設されることになりま……』
高校生の私は その日の朝も テレビのローカルニュースで目を覚ました
もっとも寝惚け眼に映るニュースは その意味が半分も頭に入って来ないが
なにやら私がバス通学に使うルートに 新しいバス停が 併設されるらしいのだが…
そのニュースを注意深く聞くことは無く 流す程度に聞き齧る
私は当時 県内でも有数の進学校に通っており 朝は早くから 夜は遅くまで 授業が組まれていた
その為 行きは始発のバスに乗り座席でたっぷり寝て授業に備え 帰りは最終バスに乗り 睡眠を貪り体力を回復するという非常に健康的な生活を送っていた
つまるところ 往復共にバスの中では寝てばっかりなので その間に通り過ぎるバス停が一つくらい増えようが減ろうが これっぽっちも気にならないのだ
さてさて 朝食を食べて バス停に向かうとしよう 今日は数学からか…朝イチは もう少し軽めの科目が 嬉しいのだが…
などと考えていると 今日の授業は数学で始まり 数学で終わるという 非常に効率の悪いカリキュラムであった
1日に同じ科目を行うのならばまとめて欲しいのが正直なところ
その日最後の数学の授業は 担当教員の熱が入り過ぎて 大幅に時間超過してしまった
クラスメイトは皆 慌てて下校 教室には独りぼっちだ この時間だと 最終バスは既に出発している これでは家に帰れない
しかし私は慌てない
母親の仕事場は学校のすぐ側である 帰りは 自家用車で帰宅と洒落込もう 誰にも気を遣うこと無く グッスリ眠れるのはありがたい
そんな私を尻目に 仕事を終えた母は 後部座席で眠る私を載せたまま 家路につく 30分も走れば 自宅に到着する 帰路は何も無い ただの山道だ
…ただの山道…だった…
…昨日までは…
…ただし『今日』からは…
この時点で 私は非常に重要なニュースを見落としていた…
『あら?』
車を運転する母が 前方に何かを見つけた
『千代(私)と 同じ高校の子じゃあないの?』
『バス停に立って バスを待っているみたい』
『こんなところに バス停あったかな~』
『可哀想に…車に載せていってあげようかしら…?』
『ちょっと車停めるね~』
車はゆるゆると減速し バス停に停車しようとする
後部座席で寝ていた私は 母の言葉をボンヤリと聞いていたが
車がバス停に近づいたその瞬間 覚醒し 飛び起きた!!
同時に凄まじい悪寒
頭痛 吐き気 目眩!
外だ! 外! マズイ! これはマズイ!私の本能が告げている! 私は運転席の母に叫ぶ
《決して 車の外を 見てしまわないように》
『お母さん! 車出して! ダメ! 停めちゃダメ! 逃げて! 逃げて!速く!速くッ!』
私の剣幕に驚いた母は 慌てて車を急発進させるしかし 私の悪寒やら頭痛は治まらない
『離れて! ここから離れて!』
しばらく車を走らせると 症状は治まり 私もいくばくか落ち着きを取り戻した
運転席の母は 何が何だかサッパリ?というようで
『どうしたの? あんまり仲良く無い子だった?』
そこで私は母に告げる
『お母さん バスは もう 無いよ! 最終便を逃したんだよ! だからお母さんの車に乗ってるんだよ! 』
『クラスメイトは 皆帰っちゃったよ 私の後は誰も居ない!』
母は首をかしげ
『でもねえ… 近所の高校生かも知れないよ? 時刻表を見に来ただけかも』
ここで私は 朝 半分聞き齧ったローカルニュースを完全に思い出していた
『本日より××火葬場の開設に伴い 』
『●●電鉄バス停の△△区画において 新しいバス停「火葬場前」が 併設されることになりました』
…そうだ…そうだった
今日から 新しい火葬場が 運営開始だった
それと同時に 火葬場前に バス停が併設されたんだ
火葬場の周りに
民家なんか一軒もない
最終バスの とうに過ぎ去ったバス停で 母が見た人影は一体なんなのか?
母は 私の話を今一つ ピンと来ない表情で聞いていたが
自宅に帰り
自家用車の助手席側のドアノブに
ベッタリ着いた 手の跡形を 見ると
さすがに顔色を変えた
案の定というか その日の例の火葬場では
最初の御利用があったらしい
最初だから?
道に迷って
バス停という標(しるべ)に すがってしまったのかもしれない
私はというと その後も普通にバス通学を続けて無事に卒業出来た
バスに乗っている間は
眠るか 寝たふりをして 決して
例のバス停を見ないように気をつけながら…
おしまい