2020/2/25の厚労省会見 発表された資料の要点

新型コロナウイルス感染症対策の基本方針が 令和2年2月25 日に

新型コロナウイルス感染症対策本部より 発表されました

テレビやインターネットなどで 会見をご覧になった方も多いと思います

今回は その内容を 纏めてみました

1.現在の状況と基本方針の趣旨

現在の状況

  • 国内の複数地域で、感 染経路が明らかではない患者が散発的に発生
  • 一部地域には小規模患者クラスター(集団)が発生
  • まだ大規模な感染拡大が認められている地域があるわけではない

基本方針

  • 感染拡大防止策により、 患者の増加のスピードを可能な限り抑制したい
  • 国内で患者数が大幅に増えた時に備え、重症者対策を中心とした医療提供体制等の必要な体制を整える準備期間
  • まさに今が、今後の国内での健康被害を最小限に抑える上で、極めて重要な時期

国民の皆様に対してのお願い

  • 感染の不安から適切な相談をせずに医療機関を受診することを避ける
  • 感染しやすい環境に行くことを避ける
  • 手洗い、咳エチケット等を徹底する
  • 風邪症状があれば、外出を控える
  • 外出する場合にはマスクを着用する

2.新型コロナウイルス感染症について現時点で把握している事実

  • 一般的な状況における感染経路は飛沫感染、接触感染
  • 空気感染は起きていないと考えられる
  • 閉鎖空間において近距離で多くの人と会話する等の一定の環境下であれば、咳やくしゃみ等がなくても感染を拡大させるリスクがある
  • 感染力は事例によって様々 一部に、特定の人から多くの人に感染が拡大したと疑われる事例がある
  • 多くの事例では感染者は周囲の人にほとんど感染させていない
  • 発熱や呼吸器症状が1週間前後持続することが多く、強いだるさ(倦怠感)を訴える人が多い
  • 季節性インフルエンザよりも入院期間が長くなる事例がある
  • 罹患しても軽症であったり、治癒する例も多い
  • 重症度としては、致死率が極めて高い感染症ほどではないものの、季節性インフルエンザと比べて高いリスクがある
  • 高齢者・基礎疾患を有する者では重症化するリスクが高い
  • インフルエンザのように有効性が確認された抗ウイルス薬がなく、対症療法が中心
  • 現在のところ、迅速診断用の簡易検査キットがない
  • 治療方法については、他のウイルスに対する治療薬等が効果的である可能性がある

3.現時点での対策の目的

  • 感染拡大防止策で、まずは流行の早期終息
  • 患者の増加のスピードを抑制
  • 重症者の発生を最小限に食い止める
  • 社会・経済へのインパクトを最小限にとどめる

4.新型コロナウイルス感染症対策の基本方針の重要事項

(1)国民・企業・地域等に対する情報提供

① 国民に対する正確で分かりやすい情報提供や呼びかけを行い、冷静な対応を促す

  • 発生状況や患者の病態等の臨床情報等の正確な情報提供
  • 手洗い、咳エチケット等の一般感染対策の徹底
  • 発熱等の風邪症状が見られる場合の休暇取得、外出の自粛等の呼びかけ
  • 適切な相談をせずに医療機関を受診 することは、かえって感染するリスクを高めることに なること等の呼びかけ等

②企業に 対して

  • 発熱等の風邪症状が見られる職員等への休暇 取得の勧奨
  • テレワークや時差出勤の推進

③ イベント等の開催について

  • 現時点で全国一律の自粛要請を行うものではない
  • 地域や企業に対して、イベント等主催する際には必要性を改めて検討するよう要請

④ 感染が拡大している国に滞在する邦人等への適切な情報提供、支援

⑤ 国民、外国政府及び外国人旅行者への適切迅速な情報提供

(2)国内での感染状況の把握(サーベイランス(発生動向調査))

現行

  • 感染症法に基づく医師の届出により疑似症患者を把握し、医師が必要と認めるPCR検査を実施。患者が確認された場合、感染症法に基づき、積極的疫学調査により濃厚接触者を把握
  • 地方衛生研究所をはじめとする関係機関(民間の検査機関を含む。)における検査機能の向上
  • 学校関係者の患者について都道府県の保健衛生部局と教育委員会等部局での情報共有

今後

地域で患者数が継続的に増えている状況では

  • 入院を要する肺炎患者の治療に必要な確定診断のためのPCR検査に移行
  • 国内での流行状況等を把握するためのサーベイランスの仕組みを整備

(3)感染拡大防止策

現行

  1. 保健所で積極的疫学調査を実施し、濃厚接触者に対する健康観察、外出自粛の要請
  2. 地方自治体が、厚生労働省や専門家と連携しつつ 積極的疫学調査等により、個々の患者発生をもとにクラスター(集団)が発生していることを把握、必要に応じ施設の休業やイベントの自粛等必要な対応を要請
  3. 高齢者施設等における施設内感染対策の徹底
  4. 公共交通機関、道の駅、その他の多数の人が集まる施設における感染対策の徹底

今後

① 地域で患者数が継続的に増えている状況では、

  1. 積極的疫学調査や、濃厚接触者に対する健康観察は縮小し、広く外出自粛の協力を求める対応にシフト
  2. 地域の状況に応じて、患者クラスター(集団)への対応を継続、強化

② 学校等における感染対策の方針の提示及び臨時休業等の適切な実施を都道府県等から設置者等に要請

(4)医療提供体制(相談センター/外来/入院)

現行

  1. 新型コロナウイルスへの感染を疑う方からの相談を受ける帰国者・接触者相談センターを整備し、24 時間対応
  2. 帰国者・接触者相談センターから帰国者・接触者外来へ誘導
  3. 新型コロナウイルス感染症を疑う場合、疑似症患者として感染症法に基づく届出を行うとともに PCR 検査を実施。必要に応じて、感染症法に基づく入院措置
  4. 医療機関における病床や人工呼吸器等の確保
  5. 医療関係者等に対して、適切な治療法の情報提供
  6. 治療法・治療薬やワクチン、迅速診断用の簡易検査キットの開発

今後

① 地域で患者数が大幅に増えた状況において

  • 一般の医療機関で、診療時間や動線を区分する等の感染対策を講じた上で、新型コロナ ウイルスへの感染を疑う患者を外来で対応
  • 地域で協議し、新型コロナウイルスを疑う患者の診察を行わない医療機関を検討(例:透析医療機関、産科医療機関等)
  • 重症者を多数受け入れる見込みの感染症指定医療機関から順に帰国者・接触者外来を段階的に縮小
  • 風邪症状が軽度の場合は、自宅での安静・療養が原則 状態が変化した場合は、相談センター又はかかりつけ医に相談
  • 感染防止の観点から、電話による診療等による処方箋発行など、医療機関を受診しなくてもよい体制の構築

②病床や人工呼吸器等の確保

③地域の医療機関の役割分担

④院内感染対策の徹底 医療機関における感染制御に必要な物品の確保

⑤高齢者施設等における感染拡大防止策の徹底

(5)水際対策

  • 現行の入国制限、渡航中止勧告等は引き続き実施
  • 検疫での対応は、国内の感染拡大防止策や医療提供体制等に応じて運用をシフト

(6)その他

  • マスクや消毒液等の増産や円滑な供給を関連事業者に要請
  • 必要な物資が確保されるよう、過剰在庫を抱えないよう消費者や事業者に対応を呼びかけ
  • WHO や諸外国の対応状況等に関する情報収集
  • 中国から一時帰国した児童生徒等へ学校の受け入れ支援やいじめ防止
  • 患者や対策に関わった方々等の人権に配慮
  • 空港、港湾、医療機関等における警戒警備
  • 混乱に乗じた各種犯罪を抑止、取締りの徹底

5.今後の進め方について

  • 本方針に基づき、順次、厚生労働省をはじめとする各府省が連携
  • 厚生労働省がまず考え方を示した上で、地方自治体が厚生労働省と相談しつつ判断
  • 事態の進行や新たな科学的知見に基づき、方針の修正が必要な場合は、新型コロナウイルス感染症対策本部において、都度、方針を更新し、具体化

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