平成31年3月26日㈫
様々な事情があってのこととは思います。現在の介護サービス制度では補いきれない部分も多く、かなりリスクの高い状態である『高齢者の独り暮らし』
今回は通所サービスが関わる中でどういった問題点があるのか、そして解決方法を一部ではありますがご紹介していきます。
まずは朝の問題。通所サービス利用の日の朝食を早く起きて用意できない、荷物の準備ができない、そもそも起きてこれない、といった方がいらっしゃいます。朝のお迎えに行ったところ、鍵が開いていない、呼んでも返事はない、電話をかけても応答なし、離れた家族にも連絡つかず。出ないのならば利用中止にすればよい、と言う訳にも行かず、立ち往生。他の利用者さんの送迎もあるので待つことすらできない…こんなこと、ありませんか?
こういう状況になってしまう利用者を一人暮らしさせるべきでは当然ないのですが
世の中そううまくは行きません
家族と一緒は嫌 施設も嫌 家が絶対良い
仕方なく一人暮らし…なんて人は世の中にいくらでもいますなんとかしましょう
対策として、うちの事業所では、
朝からのヘルパー導入を勧めました
予定を組むのは大変ですし、ヘルパーさんの負担も大きいですがメリットもあります。朝のゴミ出しが確実に出来るようになるので、生ゴミが溜まりにくくなりました。朝の服薬も管理できます。それが無理ならばせめてご家族にモーニングコールでもお願いしましょう。事業所がわざわざする必要はないと感じます。通所サービスはあくまでdoor to doorです。
次に通院の問題。通所サービス中に体調不良が起こった場合、利用を中止してからの受診となります。病院付属の通所サービス事業所でかかりつけ医が同じ病院であったとしても、必ず中止してからの受診です。介護保険サービス利用中に医療保険を用い受診、医師の診察を受けることは保険の二重利用になるからです。通常ならば家族に連絡しお迎えに来ていただき、そのままかかりつけ医を受診、という流れがベストです。しかし家族がお近くにいらっしゃらない場合は、どうするべきでしょうか?これは意見が分かれるかもしれません。うちの事業所ではお忙しいなか申し訳ありませんが、ご担当のケアマネージャーに連絡して、家族の代わりに受診の手続きをお願いする形になります。そのまま事業所に迎えにきてもらう場合と、一旦自宅に送迎する場合とに分かれますが、
どちらにせよ私たち通所サービス事業所は
あくまでdoor to doorです
私たちが受診の付き添いをすることはありません。その場で重要な判断が必要になった場合どうにもできませんから。
通所サービス開始時、つまり朝の送迎時に、体調不良や転倒している現場を発見することもあります。その場合はすぐに家族、ケアマネに連絡、必要に応じて救急車を呼ぶことになります。ここら辺は通所サービス云々というより、人として当たり前のことですが。
気をつけていただきたいのが、そのような場合、本人・家族が
『大丈夫だから通所の利用を』
と申し出る場合です。大したこと無いから、という判断なんでしょうが、
これはNG
利用中に体調不良が発生した場合、事業所側の過失となる可能性が大です。確実に断りましょう。そして受診を促します。安易に受けないように。現場では、そこに居た人の責任が問われるケースが多いです。
そして最期に
出来る限り、独り暮らしの高齢者の自宅に、用事があったとしても上がらない
ということが大切です。
送迎の際に、居室まで付き添う場合は、必ず事前にケアプランにその旨を組み込んでもらわなければなりません。そうすることで最大30分間までと制限付きながら送迎時間を利用時間に算定、つまり加算を取ることが出来ます。ここ大事です。そのうえで事業所と利用者間でも同意書をとることをお勧めします。高齢者の自宅に上がることは大きなリスクになります。『心配だから、危険だから』という判断、親切心からの行動とは思いますが。利用者の方が『物が無くなった。壊れた』と後で言い出した場合、責任がとれません。違うと言っても証明できませんから。同様のケースで、暖房器具、電化製品のスイッチを触るのもNGです。理由は同様、故障や死亡事故が生じた場合、責任が取れないからです。あくまで利用者自身が押すべきです。
なんというか正直
薄情と取られても仕方がない感じですね
人情的に何とかしたくなります。しかし無理な物は無理。これを徹底しないと必ずトラブルに発展します。そして本来これらはの問題は事業所が問題なのではなく、利用者本人、もしくは家族そのものに問題があるか、ケアプランの立て方に問題がある場合がほとんどです。すなわちケアマネが利用者の状態を把握していないか、把握していてもその対策を立てきれないか、ということです。全ての責任を事業所に丸投げされてもそれは範囲外の仕事になるため
はっきり断る勇気も必要です
独り暮らしの高齢者には、そうでない方に比べ、生活に様々なリスクが存在します。
そして、全てのリスクを一事業者が解決することは困難です。その為に複数のサービスを効率よく組み合わせる必要があり、それを行うのは担当のケアマネージャーにほかなりません。ケアマネージャーは利用者を注意深く観察し、必要なサービスを見極め、ケアプランを作成する。サービス提供事業者は、その責任の範囲内で、できうる限りのサービスを提供すべきなのです。家族の協力が得られない、もしくは得にくい分だけ介護負担は増加します。また、家族の視点が欠けることは、ケアプランを実施していく上で、その出来を評価する機会がまるまるひとつ永続的に損なわれることになり、サービスの質の低下を招く恐れがあります。この差分を考慮できるか否かが、ひとつのポイントになるのではないでしょうか。