平成31年4月25日(木)

医療や介護、年金などの社会保障費を抑制するための改革案を財務省がまとめ、23日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会に示した。給付の抑制や負担の公平化が柱で、審議会の議論を経て、政府社会保障改革案への反映を目指す。 財務省が示した主な社会保障改革の方向性●医療・介護【保険給付範囲のあり方】・処方なしで買える医薬品を処方した際の自己負担率引き上げ・少額の外来受診への定額負担導入・高度・高額な医療技術や医薬品への対応・軽度な要介護者への生活援助サービスの効率化【保険給付の効率的な提供】・病床を削減するための都道府県の権限を強める・診療報酬、薬価の合理化・適正化【高齢化・人口減少下での負担公平化】・後期高齢者の窓口負担引き上げ・居宅サービスでケアプランを作る際の利用者負担の導入●年金・在職老齢年金制度と高所得者への給付の見直し・繰り下げ受給の上限年齢を現在の70歳から引き上げる

朝日新聞デジタル 2019/4/24

というニュースが4月24日のお昼くらいに入ってきましたねえ よく読むと なかなかヤベーこと書いてるんですけど

・病床を削減するための都道府県の権限を強める

・後期高齢者の窓口負担引き上げ

・居宅サービスでケアプランを作る際の利用者負担の導入

ここら辺を 夏の参院選前、10月の消費税増税前に発表しちゃうあたり

自民党の余裕がうかがえます

病床減らして 医療費自己負担の引き上げや ケアマネ代の利用者負担の新設とか

若者にも 高齢者にも 手厳しいぃー

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さらに居宅介護支援事業所 ケアマネについては

複数事業所の利用者負担の説明、ケアマネに義務化を 財務省が注文 利用者にとってのサービス価格の透明性をもっと高めていくべきではないか―。そう必要性を訴えている。財務省は23日の審議会(財政制度等審議会・財政制度分科会)で、今後の介護保険制度の見直しに向けて具体策を提案した。居宅介護支援にも言及。ケアプランを作るプロセスで、複数の事業所のサービス内容と利用者負担の違いについて説明することをケアマネジャーに義務付けるべきだと主張した。利用者が比較検討できる機会を必ず得られるようにすることが狙い。事業所どうしの競争がより活発になることでメリットが生じると見込んでいる。来月にもまとめる政府への提言に盛り込む方針だ。居宅介護支援をめぐっては、2018年度の改定でも利用者に対する説明責任を重視したルールの厳格化が行われている。新たな契約を交わすにあたって、○ 複数の事業所の紹介を求めることが可能であること○ その事業所をケアプランに位置付けた理由を求めることが可能であることの2点を伝えることが義務付けられ、これに違反するとペナルティで報酬が減算(運営基準減算)されることになった。今回の財務省の提案は、さらにもう一歩踏み込んだ措置をとるよう注文するもの。「利用者側の求めによらずとも、複数の事業所のサービス内容と利用者負担について説明することを義務付けるべき」と訴えている。財務省はこのほか、居宅介護支援のケアマネジメントで新たに利用者負担を徴収することも引き続き要求している。

ケアマネタイムス 2019/4/24

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つまりどういうことだってばよ 

財務省の案としては 

ケアプラン作成の時に 複数のサービス事業所を選択肢として挙げてそのサービス内容と利用料を説明し利用者から選ばせるようにしてね!そうしたら 事業所間で競争するから サービスの質の向上につながるよね!ケアマネさんは 負担増えるけど頑張ってね負担増えた分は利用者さんからお金を貰ってね 国は負担しないよ!

ということらしい

この件については 本当に実施されるかどうか分からないしあくまで現段階では財務省の意見 仮に実施されたところで実際に事業所間で 熾烈な競争が起こるとも限りません

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個人的には 介護保険サービスは サービスの種類が同じならば内容、すなわち質には あまり差がつかない つきにくいと考えている

差がつくならばせいぜい設備などのハード面もしくは立地条件やアクセス面くらいでしょう

だから世のなかの大規模な医療法人は 患者を手放さない工夫をする

居宅介護支援事業所のケアマネを軸に小規模多機能ホーム、ショートステイ、通所リハ、通所介護、訪問介護、訪問看護、訪問リハ、特別養護老人ホーム、有料老人ホームの間を患者を移動させながら生活の場を変えていく

言わば患者ロンダリングをほぼ自社ブランドで行ってきた

抱え込みというやつですなあ

こうすることで利用者(患者)がどのフェーズでも 法人に収入が安定的に入ってくる

このこと自体を否定するつもりは 全くありません 

むしろ当然です

同一法人内できちんと情報が共有され連携がとれていることは スムーズなサービス提供につながります

利用者側からすると 同一ブランドというのは それだけで安心感があるのです

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今回、財務省は介護サービス分野において事業所間での競争を発生させてサービスの質の向上を期待しているのだが現在わかっている情報だけで考えると、これはかなり危険な考え方なのではないか、と思う

通常の商売であれば 質の良いサービスには高い価格設定が なされるべきなのだが

介護サービスの値段は国が決めるのだ

いくらか加算が算定されても限度がある

そもそも財務省の基本方針は書いている通り、医療や介護の給付の抑制なので

サービス事業所が 競争に勝つため サービスの質を向上させてもその結果収入は劇的には上がらないだろう

競争に敗れた事業所が消え去るだけだ

競争は勝者と敗者を生む

それどころか 介護報酬については年々引き下げの傾向にある

競争させるだけさせておいて 事業所の貰える報酬は少なくなる可能性が高い

サービスの質の向上を 国として望むのならば国がその原資を保証するべきではないのか

少なくとも現時点では その点について 説明はなされていないようです

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価格の上昇が望めない業種では何が起こるかというと

薄利多売

一つの業界全体が薄利多売に右へ習えで進んでしまうのは非常に危険です

いささか極端な例ではありますか外食産業に起こったことを思い出していただけるとイメージしやすいかな、と

牛丼チェーンに例えると

1杯あたりいくらの価格競争

もう下げれない価格まで各社下げてしまう

品質の低下売り上げの低下による経営状態の悪化

利益の確保のための人件費削減

人手不足によるワンオペ問題

人員確保の為、人件費を上げざるを得ない

再度経営状態の悪化

従業員の教育にかけるコストや時間がない

バイトテロに代表される接客サービスそのものの劣化←今ここ

ここまでで何となく イメージできたでしょうか

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本来この状況を避けるために介護保険制度というのは 一部の中山間地域を除き全国ほぼ一律の価格設定で 同じようなサービスを介護被保険者に公平に提供してきました

そこに多様性は生まれにくかったと思います

確かに

介護保険法総則第1章 第二条 3項には第一項の保険給付は、被保険者の心身の状況、その置かれている状況等に応じて、被保険者の選択に基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者又は施設から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない

介護保険法 総則より

このように記載されてはいます

多種多様な被保険者に対し 最適なサービスを提供するために そこにもまた多様性が求められるのも理解はできます

ただし そこに必要な多様性とは 質(quality)ではなく量(quantity)、もう少しいうならばサイズと種類の問題ではないかな、と

例えるならばパズルのピースのように ちょうどよく過不足なく埋める

もうすこし言うならば使うピースの組み合わせが1パターンではなくいくつかのバリエーションが選択できる、色も選べる状態

これが介護保険制度の目標であると考えるのですが

単純に同一業種での競争はパズルのピースそのものの精度を向上させることにつながりますが 最終的には選ばれるパーツ間に順位が決まってしまいます

しかも 良いパーツは数に限りがあり

使いたくないけども、悪いパーツを使わざるを得ない

それどころか悪いパーツは次第に廃棄(淘汰)されてしまうので パズルは完成しない

完成しないパズルは 瓦解します

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今回の財務省が示した社会保障改革は

医療・福祉といった社会保障そのものの削減医療・福祉に対する個人負担の増加年金受取額の減少 受け取り年齢の引き上げがテーマとしてまずありき、のように感じます

日本が今現在、出生率の低下と65歳以上の高齢者の割合、すなわち高齢化率の上昇に苦しんでいるのはわかる

そこにかかるコストが莫大であるのは分かる 

削減したいのはよく分かるだが、

まだ早くないか?

単純な人口増加の予想から考えると、高齢化のピークは『2040年』なのだ 

前にも言ったが 競争は勝者と敗者を生む

競争だけさせていては 事業者の総数は減ってしまう 

今は高齢化のピークに備え、介護保険制度に多様性、柔軟性、余裕といったものをのこしておくべきではないのか?

ここで医療や福祉を早々に絞ってしまうと 冗談抜きで 以前記事に書いた介護保険サービスを受けたいけど 受けられない が2040年に現実になってしまう

というか 私がそうなってしまう 

順調に生き残っていれば(笑)

老いた私は 医療や福祉がすり減った日本で生きていけるのか

なんだこの煽り文句は

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社会保障に関しては これから幾度と無く議論が繰り返されていくことと思います

その過程で様々な業界から意見も出ることでしょう

医療従事者もしくは、介護保険業務に携わる皆様におかれましては

まず、我々が働いていく上で重要な決定が今後なされるであろうということ

そして そのなされた決定の上で 生きていくのはほかならぬ自分自身とその家族であることを心に留めておいて頂きたい

文章を書きながら 老後のことが少し心配になってきた 千代原でした

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