理学療法士の給与についてまずは一言
『ベアは厳しい』と申し上げておきましょう
理学療法士に限って言えば 昇給を望むなら
たくさんくれる職場を探しましょう
今後は そういう職場の取り合いになると思います
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何で理学療法士の給与が上がらないかというと
ひとえに『診療報酬・介護報酬が上がらないから』なんですけどもね
ここ最近の流れを見ていると医療・介護ともにリハビリ関連の点数は減る傾向です
減った点数は 加算を算定するなりして 何とか補填したいとこなのですが
加算の算定も 近年 難しくなってきています
厳密に言うと 加算を全てとれるのは大規模病院・大規模事業所のみです
中小規模の病院では 算定できない加算も多く
それでいて 新しく創設される加算は大概 条件が厳しいです
理学療法士単体で算定できるものがあまりありません
例を挙げてみましょう
介護分野 特に通所リハビリに関してはリハビリマネジメント加算Ⅱの額が大きいですが
これも理学療法士単体で算定できる加算ではありません
リハビリテーション会議が必要となるのが 厳しめですね
医師の参加が必要となりますので この加算を安定的に算定するのは結構大変です
この加算 創設当初は うちの県内で わずか二か所でしか 算定できなかったそうです
現在は 条件が若干緩和され
医師に関してはテレビ電話なんかでその場にいなくても参加オーケーになってたり
こういう加算は 居宅介護支援事業所=通所リハビリ事業所=かかりつけ医 の連携が必須
つまり まるごと一つの法人でやらないと実際は難しいでしょうね
だから 大規模病院や事業所が有利ですし、そういうところに就職すべきなんですね
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ここまで書いといてなんですが
そもそも医療費削減とか介護保険料の値上げが問題になってる状況で
理学療法士の給与がそう簡単に上がるわけないんですよね
ここで逆転の発想です
収入が増えなければ支出を減らせないかな、と考えると
まともな勉強をしている理学療法士さんなら真っ先に上がるのが
『参考書代』とか『勉強会費用』ですね
ここの占めるウエイトが大きい割に 報われないんですよねえ
正直、協会主催の無料のセミナーとか勉強会をできないもんですかね 新人プログラムとは別に
出来ないならば『協会費の減額』
看護師と比較すると 高額すぎます あえてここでは明記しませんが
この記事を わざわざ読むような人なら どれくらい差があるか ご存知でしょう?
お金を集めるならそれなりのサービスを提供しないと駄目ですよね
協会に所属するメリットが正直あんまり…
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結局 現時点では 理学療法士が正攻法で昇給するのは難しそうです
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2019年10月より 介護士の給与体系が改善され 最大で8万円の昇給が起こり得るようになりました
これに対し例えばケアマネ業界からは 『ケアマネと介護士の給与が逆転するのでは』という議論が起こりましたが
こういった議論や問題提起すら起こらないのが理学療法士界の現状です
皆が給与に満足しているのかというとそうでも無さそうです
マイナビなんかのサイトでチェックすると
理学療法士全体の年収平均は 男女間の差はあまり無くて
ギリギリ年収400万円くらい
でもこれって 全世代の平均なんです
20~24歳つまり新卒~三年目くらいの平均をみると
年収は330万切ります
これだと諸々引かれて手取りは250~260万円くらいになりますね
初任給が低く、先に述べた理由で昇給も望めないなら
今後、全体の平均年収は急激に悪化するでしょう
なんせ資格保有者の人数だけは多いうえ、毎年NewFaceがいらっしゃいますからね
企業側が賃金の安い求人を出しても 人はいくらでも集まる という状況が生まれるわけです
実際、一部の新卒採用では既に フルタイムで働いて 年収270~280万円という条件も見られますし
実際に働いている人もいらっしゃいます
この場合だと手取りは年間で230~240万円になってしまいます
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理学療法士になるにはお金がかかること
その結果、多くの方が奨学金というローンを組んでいることは
以前記事にしたかと思います
低い手取りではその返済もままならないでしょう
この現状に対して声を挙げることこそ 協会が今やらなければならないことだろうと考えます
いくらとは申し上げませんが毎月高い報酬を頂いているはずの理学療法士協会の理事の方々
年会費を集めることに血道を注いでいないで
現場の若手の状況に目を向けるべきでしょう
貴方たちの地位を支えるのは 下にいる 若手です
もう少し言うならば 理学療法士になる入口
つまり 養成校の先生方もこういった実状を少しでも学生に説明すべきではないでしょうか?
お金関連に関して無知な学生や新卒採用者が最近余りにも多く
そのことが 理学療法士の低収入化に拍車をかけているのではないか?
と考えるようにもなりました
理学療法士になってから 金銭的に ままならないことに気付いても 取り返しはつきません
事前に知っていれば 別の道も選べます
厳しい状況と覚悟して飛び込んで来る人こそ その業界のプラスになり得るのでは?
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誰だって お金は必要なんです
『リハビリは ボランティアでは ありません』
理学療法士、もう少し広く言うならば コメディカルが お金に貪欲になることは
そんなに 悪いことでしょうか? 脱サラ組の私は この点において 常日頃 疑問を感じています
こういったことを考えるところから 始めないと 10年後20年後には
この職種を 真に 志す人が いなくなってしまうような 気がします
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今まで何度か職場の同僚や学生から
『理学療法士にならなければ良かった』
『学校に入らなければ良かった』という声を聞き
職場を去っていくのを見送ってきました
それは とても辛いことなのです
そういうことが少なくなればいいなあ 千代原でした バイバイ