知床遊覧船のニュースをチェックしていると、運営会社の問題点の一つに
『ベテラン職員を一斉解雇して、給料の安い、経験の浅い職員を雇って利益を出していた』
みたいな話が聞かれます
この話を聞いた時に
『まあ、そうなりますワ』と思ったのですが
この手の考えはリハビリ業界でも結構聞いたりします
年齢の順にきれいに並んだ年収のグラフ=昇給が望める職種、ではない
転職サイトなんかで『理学療法士』を調べてみると、年収は階段状になっており、年齢が上がるごとに昇給するように見えます
実際はそういうことではなく、理学療法士の年収は年代を追うごとに段々安くなっており、昇給もほとんどないのです
年齢が高い=昔の理学療法士は好条件で雇われており、若い世代になればなるほど厳しい条件で働いているということにほかなりません
理学療法士に関しては、この手の年収のデータは全く当てになりません 今貰ってる自分の給与明細を確認して、同じ職場に努めるならば、10年後も額面的には大して変わらず、税金など、引かれる分が多くなってくることを覚悟しておきましょう
リハビリはどの理学療法士が行ってもお値段おんなじ
理学療法士が行うリハビリは、大ベテランのセンセイwが行おうと、新人ヒラヒラのぺーのぺーのぺーの人が行おうと、1単位20分の単価は変わりません
理学療法士は経験を積んでも、その分の収益を追加であげることは出来ません
さらに1人の理学療法士が行うことが出来るリハビリの単位数は108単位/週、24単位/日と制限されています
つまり
一年間あたりのリハビリの収入は
理学療法士の人数×
1週間で出来る単位数108単位×
1単位あたりの単価×
52週で
だいたいの値が計算出来ます
収益をあげるには
収入ー支出が粗利なので、収益をあげるには収入を増やすか、支出を減らすかのどちらかです
先に述べた通り、一年間のリハビリの収入は
理学療法士数×108×単価×52週
なので リハビリ単価が厚労省のさじ加減である以上
唯一変更できる数字は理学療法士の人数です
現実的には リハビリを受ける患者の数が有限なので、これがボトルネックとなり、理学療法士の数が固定されます
リハビリの収入は簡単に頭打ちするんですワーw
支出の多くは人件費
という事で、収益をあげるには支出を減らす必要があるんですが、支出のうち最も多くを占めるのは人件費
では人件費カットに有効な手段って何?となると、リハビリ業界では若手の給与を抑えることで人件費の合計額を削っています
昔、厚待遇で雇用しちゃった理学療法士の給与をカットする方向には向いていないんですワーw
リストラもそうそう聞きませんネ
遊覧船の運営会社の考え方は、リハビリ業界でも起こっている?
何が言いたいのかって言うと
リハビリの収入はその性質上
収入の上限が簡単に頭打ちになる&収入の総額が人員の質に左右されない、ということ
これって、最初に言った遊覧船と同じって思いません?
一回で載せるお客さんは限界がある遊覧するコースや時間もある程度決まっている
結局、船とクルーの数次第なんですよネ
この遊覧船の運営会社は利益を出す為、給料の高いベテランを切る&経験の浅い者を雇用する
知床の海での使用に堪えうるか疑問の残る船を使う
といった方法で収入確保&コストカットしていました
実は理学療法士業界でも似たようなことが起こりつつあります
具体的に言うと、求人の条件は年々悪くなっています
金額面が駄々下がりですワーw
そして、ある程度の経験が必要になるであろう訪問リハビリの求人でも『経験不問』という単語を目にするようになりました
訪問や外来リハビリは臨床で一人立ちしてからするもんです…決して新人にさせる仕事ではありませんネ
経験の浅い者に船を任せるのと同じです
前の職場での人事部長&事務長の見解
余談ですがワタクシが以前働いていた法人の人事部長と事務長は以前、
『リハビリは誰がやっても収入一緒なんだから、新人いっぱい雇って、責任者として中堅くらいの人を1人雇えば一番効率良いよね!』ということを言ってました
完全に一致やんけェェェェェェ!
ここまで極端な例はないとしても近年、中堅がごっそり抜けた『ベテラン一名&1~3年目くらいの若手ばっかり』という職場は確実に増えています
最後に
今回は遊覧船関連のニュースを見ているうちに気になったことを書いて見ました
企業が利益をあげる為に人件費を削減、というのはある程度仕方ないことかもしれません
ただしその結果生じるリスクっていうのは確実に存在するというのが今回の遊覧船事故で明らかになってしまいました
ワタクシは人件費カットがガンガン進むこの理学療法士界隈において、この事件の様な とんでもないことが 起こってしまうんじゃないのか、と一抹の不安を覚えるのですワ